圧倒的に走ってく

基本的には行ってきたライブのこと。たまにCDと本と諸々の話。

永久(に出られない)凍土

今日ライブだなー、というのと、最近ずーっと寒いなー、というのと、

聴き込み過ぎてどこかに考察を吐き出さないと気が済まないというのと……

というわけでライブで瞼の裏の余白を埋め立てられない内にアルバム個人的全考察。
(※あくまでも個人論です)

1.vapor

蒸気という意味。
本人のインタビューによると「氷をも溶かす熱気により生まれる水蒸気」なんだとか。
確かにナイーブな雰囲気に熱い空気を内包したような繊細なストーリー仕立ての歌です。
強気な女性とそれを追う男性目線で綴られるその恋の顛末は、

映画『テロルンとルンルン』でどうぞ!!

……要するに販促(タイアップ)曲なんですよね。
しかも今のところ映画祭でしか公開されていない映画です。
浸りたいのにどこか浸りきれない部分はたぶんそれが原因です。
とても良い曲で、聴いていてゾクゾクするんですが、販促曲はそれありきって感じは否めないのです。
一般公開されたら是非見に行きたいところです。

2.空中裁判

ある男がある罪を犯し、地面に叩きつけられるまでの話。
……いきなり物騒です。裁判と言いつつ、判決はただ一つ。
ただ一つの判決を受け入れ、滑空するその姿。

『すべて絶景』――

背筋がゾワッとします。

よく、死ぬ前の数秒は数十分にも感じられるなどと聞きますが、それなんでしょうか。

……恐ろしいことです。

3.100

聴いてすぐに蒸気で包まれたブリキの街のイメージが頭の中に浮かぶ。
そしてインタビューを読むとこの曲のテーマはスチームパンク
スチームパンク
古くて新しいスチームパンク
なんとなく『非売品少女』を彷彿とさせるスチームパンク!!

こんなん惚れるしかない。

4.モア

『モア』は巨大な古代鳥。
天敵が居ない故に警戒心が乏しく、羽根は退化。人間によって滅ぼされた存在。
進化を止めた生物は、いつか何かに滅ぼされる。

……自分よりもっと強大な、『何か』に。

『100』が進化していく(ようでしていない)社会への問いだとするならば、
『モア』はいつまでも進化しないものへの皮肉。

『葛藤に終わりなどはないんだ』
『不安定、現在地不明で丁度いいぐらいだ』

凄い生き様……!

5.seasening

調味料、という意味。
気丈な女性とお調子者の恋人の同棲生活が描かれている。
ディナーを焦がして泣く(普段は泣くことのない)女性、それでも食べるという恋人。
その苦い思い出が、思い返すと何故か楽しい思い出にすり替わっている。

どうして?

という歌。

……これに関しては、きっと答えを出さない方が良い気がします。
この歌に調味料って名前を付けるセンスが素敵です。

ところでこの歌、妙にリアリティがあります。
フィクションにリアリティを持たせるにはモデルが必要不可欠。
気丈な女性のモデルはもちろん日食さんとして、お調子者の恋人は……

……きっと答えを出さない方が良い気がします。

6.メイフラワー

とある有名な船の名前がモチーフ。
聞いていると航海の様子が頭に浮かびます。

物語には必ず終わりがある。
都合のいい魔法はないと知っている。
幸せを渇望しても、いつか終わりは来る。
これ、『モア』とテーマは同じですよね。
という前提で『モア』のフレーズに戻ると……

『天敵のいない楽園に生まれた鳥のように』
『もし僕がなっちゃった時は 息の根を止めてくれ』

凄まじい生き様……!

7.Misfire

日食さん、これを10代で書いたんだとか。
誤着火、誤点火とかそんな意味かと思いますが、その真意とは。

太陽を足蹴にして燃え上がるひと。
思い浮かぶのは日を食らうという名前を持つよく知るひと。

……考え出すと楽しいですね!

8.お役御免

神様に死刑宣告を受けた「僕」のお話。
『空中裁判』どころの騒ぎではありません。
神様です。

『もしもし? 俺、神よ。突然だけどお前には死んでもらうことになった』

……いやいやいや。

ザ・死の宣告。
愛とか恋とかからドロップアウトした「僕」は、身体を持つことすら許されない。

『安楽浄土の五秒前』
『圧縮廃棄の二秒前』

近付くタイムリミット。
その時、「俺」は……?

……あれ、一人称が変わっていますね。
これは自暴自棄になっているのか、はたまた……?

一人称「俺」が似合う女性シンガーってそうそう居ない気がする。

9.致死量の自由

果てなき自由は致死量の猛毒だった。
正しい使い方を知らない奴は飲んじゃ駄目なんだ。

これって、全ての事象に当てはまることです。

適量は益となっても、過度なら毒となる。
毒にも薬にもなる。

さて、この歌は……?

10.タイヨウモルフォ

南米のジャングルに棲む不思議な蝶々。
太陽をも食らうと呼ばれるその巨大な蝶々の名前は、

ところで、太陽を食らうと言えば、思い付く方が一人。

……考察って楽しいですね!

11.8月32日

バグで有名なそのタイトル。
その名の通り、いきなり異世界に来ちまった感が凄い。
場違い感ともいう。
なんか怖くなり始めたところで歌が始まる。

歌詞自体は結構可愛いので、前奏で諦めると勿体無いです。

ただ、怖い。
精神的に蝕まれていくような奇妙な感覚に陥る。

12.white frost

ディストピア的な世界観。
恋人を都会へ送り出したにもかかわらず、
『どうかそのままでいてくれ』
と願う「僕」。
田舎は出て行くべきだというものの、自分はそこに残る。

木綿のハンカチーフとも言えるその世界観は、
やっぱりどこか独りよがりで、自分勝手とも言える。

その結末は……きっと各々考える方が良さそうです。

13.話

これの話がしたいがためにこの記事を書いたと言っても過言ではない。
主人公、「あたし」は、恋い惹かれた「きみ」が、ひとりではないことを知ってしまった(もちろん、相手は「あたし」ではない)。
好きであることを言わずに仕舞い込む「あたし」。
言う必要はない。言ったところで「きみ」はこちらを向いてはくれない。
だから「あたし」は、「あたし」を沈める。
本当の「あたし」を。

同級生だろうか。元恋人だろうか。……かつての先生?だろうか。
心に決めた相手がいる「きみ」に何も言わず、「あたし」は恋心を封じ込める。
前に進もうと決意し、「あたし」は「きみ」のことを忘れようと決めた。

さて、ここで疑問が一つ。

問:どうして「あたし」は恋心を伝えないのか

相手は終始「きみ」です。
誰とも取れるようになっています。

伝えれば、友人でもいられなくなる。
だから、身を引いた。
迷ったことも、どう思ったかも、伝えない。
伝えない、という選択肢。
それが今までの「あたし」と「きみ」である条件。

その答えはきっと、

……本日、答え合わせに行ってまいります。