圧倒的に走ってく

基本的には行ってきたライブのこと。たまにCDと本と諸々の話。

歌うことをやめられない人々と、音楽を止めない方々と、聞くことを辞められない人々

RE:LIGHT FES@下北沢各地。
年末に情報が出て以来、物凄く楽しみにしていたサーキットフェス。
復帰する方が居たり、活動休止する方が居たり。
単純に見るのが楽しみな人やら、様々な道へ向かう人を選択して見ることになる葛藤やらで、存外早くやって来たその日。
心躍らせながら、万全の準備をして向かう。
ただし、

前日にオールスタンディング4時間のライブがあったこと以外は……

…あたしが選んだ道や! あたしが決めたことなんじゃ!! 笑うなら笑え!(?)

今回は事前情報で「絶対見たい!」と思った人以外はどこに行くか全く決めずに行った。

会場は4つだから全部行きたいとはぼんやり思っていたが。
DY CUBEだけ回り込んだ立地だ…

まずはリストバンド引き換え

あまり早く行きすぎても混んでるな…と踏んで、開場して少し経ってからMOSAiCに行くことにした。

恐ろしいほど混んでいた。

皆さま考えることは同じ…それはそうとこれじゃトッパーの朔良さんに間に合わない。
復帰戦は見たいのだが、致し方ない。受付次第、そのままMOSAiCに居ることにした。

久保琴音

リストバンドを見せて会場に入ると、もうかなりの人集り。
ステージは高めということもあって、後ろからでもステージの全体が見える。
白いステージにやって来る黒い影。
久保琴音さんを見るのは何だかんだで去年の7月以来。
ステージに椅子を置き、座ってギターを弾くスタイル。
このスタイルの為、前の時は姿も見えなかったが、今回は楽しそうにしているのがそのまま見えるので、つられて楽しくなる。

朔良さんから移動してきたのか、途中からちらほら人が増えてくる。
これがサーキットフェスの醍醐味とはいえ、少し落ち着かない。

もちろんステージ上は落ち着いていて、最後の曲は『星が落ちた日』。
この曲は散っていった者に向けた曲だそうで、歌詞の重みと声のトーンが重なって、暗いけど明るい、不思議な気分になった。
散っていった、というのが志半ばで諦めたということなのか、死んでしまったのかは分からない。
しかし一つだけ分かるのは、この歌の主人公は、君が居なくなったことを悔いている。
『声が届かないんなら歌うよ』
情景を鮮明に想像してしまって、胸が詰まった。

まだトップバッターだぜ…?

詩音

歌詞について考えていると、もう次の方がリハーサルを始めていた。
伸びのある声に引かれて、そのまま残ることにした。
詩音さんを見るのは去年の5月以来。名義を変えてからは初だ。
声のイメージは深い紫色。透き通っているけど癖がある雰囲気で、場の空気に呑まれそうになる。
相変わらずの歌詞の世界観に浸っている内に、時間が経っていく。不思議な魅力だ。
3曲目好きだな…と思って調べたら曲名未定で驚いた。
また聞くときには曲名決まってると良い…いやこのまま曲名未定でも格好いいかもしれない。人に説明する時に難しくなるけども。

椋子

次に行く場所は決めていた。LIVE HOLIC。MOSAiCからは割と近い。
が、少し時間が被っていたため、一曲目の途中から。
フロアも大入り満員…なので通路から見ることになった。
椋子さんは初見だったが、声の雰囲気に一発で呑まれてしまった。
優しくて温かい雰囲気のする声だな、と思っていたら曲名に『白湯』が入っていて、
「ああ、これは確かに白湯のような声だな…」と納得した。
MCの雰囲気から考えるとたぶん本人も白湯のような人なのだと思う。
優しくて温かく、ここぞという時に助けてくれそうな。
それでいて芯は強くて笑顔が素敵で…いやこれは白湯のイメージではなかった。

物販に行きたかったけど列が長すぎて諦めた。
また近い内に見に行きそうな気はしている。

伊津創汰

続いてやって来たのは、ギターを携えた…なんだろう、不思議な雰囲気を纏った方。
フォロワーさんの影響で前々からライブで聞いてみたいと思っていた伊津さんだ。
実はこの方を見たいのでこの時間にLIVE HOLICに行こうと思った面も大きい。
声に色気のある人で、照明が赤紫なのも相俟って、纏う雰囲気も赤紫になる。
「この時間に、ここを選んでくれて、ありがとうぅ!」
歌詞のミステリアスさとは裏腹に、本人は気さくなイメージで、ギャップにやられる。

一つ前の椋子さんの物販の方々が多く残っていた為若干アウェー感もあったが、歌はきっちりと。
この方もまた見に行くこともあるだろうな…と思っていたら改名…
伊津創汰名義のライブはこれが最後になってしまった。
一期一会だ。

次を決めかねた

とりあえず以前からおすすめされていた伊津さんは見ると決めていたのだが、それ以降はまた無計画だった。
配られていたタイムテーブル表を開く。

LIVE HOLICに留まるか、別の場所に行ってみるか?
その時間を確認すると、一人だけ行ったことのない方が居た。
見たことのないアーティストを気軽に見られるのがサーキットフェスの特性。
それなら、とMOSAiCに行くことにした。

まっすぐ行って角を曲がり、ドアを開け、

入場規制。

…それもまたサーキットフェスの醍醐味。

Mei

ここから一番近いのは…、
というわけで、やって来た近松
元々時間が被っていたこともあって、一曲目の終盤ぐらい。
Meiさんを見るのは去年の…1月以来。つまりは丸一年ぶり…
去年感じた話が達者なイメージはそのままに、ドンとくる歌声がパワーアップ。
それどころか話のキレも、その歌声も、ピアノの音と共に強さが増している感じがして、格好良かった。
次行くときにはまたキレも増しているのだろうか…

歌田真紀

Meiさんが去っていくと、今度は…佇まいから闇が滲み出ている方が現れた。
内なる闇を曝け出す…歌田真紀。図らずとも二日連続歌声を聴くことになった。
噂には聞いていたが衝撃的な初見から間を置かずに今回。
一度聴いたら忘れられない巻き舌を多用した歌い方と、誰でもない凄まじい人生を描いた歌、『生ぬるい生』のどす黒い歌詞が楔のように打ち込まれ、その場から動けなくなる。
そんな凄まじさもあれど、MCからは明るさも感じられた。
このフェスの雰囲気に呑まれたのかもしれない。

のぐち

ここで近松はインターバルに入ったので、またMOSAiCに戻ることにした。
ちょうど転換の時間だったので規制ではない。良かった。

やって来たのは黒い服の小柄な方。
第一声、透明感と強さが同居していて、聴き入ってしまう歌声。
かなりブランクがあると言っていたが、ブランクを感じさせない雰囲気。
MOSAiCには青と白のイメージがあるが、のぐちさんのイメージは赤と黒だった。

…後からアイコンを見たら赤と黒だった。なるほど。

休憩

本当はぶっ続けでフジタカコさんを見る予定だったが、のぐちさんが終わった時点でフラッとしたので休憩に。
やはり前日のスタンディングライブ4時間が効いている…

駅からほど近いガストはこの時間でもかなり混んでいたが、休憩にはもってこいだった。
ピットインしたので、また気力が戻る。

水咲加奈

ここからはDY CUBEが一番近い…ということで、そのまま向かうことにした。
休憩が想定外だったので、この時間のタイムテーブルは把握していなかった。
入場規制ギリギリの滑り込み。
もうほぼ終わりの雰囲気だったが、迫力のあるピアノ音にまず驚き、歌詞のとんでもなさに更に驚く。
黒い服と相俟って、キーボードと一体化しているように見えた。
これは格好良い…と思っていると、最後の曲で不穏な言葉。
「突然指から血が…」

どよめく場内。

「…あとで消毒しときます」

いやそういう問題でなく…どうやら面白い方のようだ。
今度はしっかり見たい。

須澤紀信

水咲さんが終わった時点で椅子席に空きが出た。
DY CUBEの白い椅子は座りやすい。

なんとなく女性客が多いな…と思っていると、続いてやってきたのは、須澤紀信さん。
第一印象が「顔の濃い人だな…」だった。
そして歌声も濃い。
例えるならソース…いや顔に引っ張られてる訳でなく。
そしてとても面白いMCをする人だった。キャラも濃い。女性ファンが多いのも頷ける。

…その後、アーティスト写真を見たらあまりにも別人で驚いた。メガネの有無って人相をかなり左右するな…

木下直子

次はどうするかな…と思ったが、リハーサルのピアノの一音目から「はい好きですー!」となったので、そのまま居残ることにした。
明るい人柄と、仄暗い歌詞。
会場が真っ黄色になっての『Hello Hero』の節回しがとても素敵だった。
天窓に向けた曲だという『Rainbow』では、照明の雰囲気にとても天窓の雰囲気を感じた。
さすがDY CUBE…さすがぴんくさんPA
この場に居合わせられて良かったな、と深く頷いた。

やもとなおこ

続いては…流し…?というイメージの女性。
前日に急に「タップダンス呼んで良いですか!?」と言い、周囲を困惑させたというエピソードから既に楽しい。
呼ばれたタップダンサーの猪俣さんの音も楽しく、「この時間にここを選んで良かったな…」と思った。
「動画撮って拡散して」という話だったが、咄嗟にスマホが見つからず断念。ここは生で見ることを推奨しているということで…(?)

本人が「ここに来なかった人を後悔させる」のようなことを言っていたが、これは確かに見られてよかった。伊勢原と藤沢のコンビ…半端ない。

藍谷凪

やもとなおこさんが去っていった時点で会場は温まりすぎていた。
そんな中、次にやって来たのは藍谷凪さん。
ピアノを2台整備している…2台使うのか…と既に見入る。贅沢な空間だ。
リハーサルから何かとても楽しそうだったのは、やはりこのDY CUBEのおかげか。
そして本番が始まっても楽しそうにしている。
初DY CUBE、と言っていたが、既にここの住人感がある。
ピアノの音も綺麗に響く。
今回の『君がくれた花束』は赤に近い橙色の印象。やはり楽しさが滲み出ている感じがした。
照明の色合いと一緒でとても鮮やか。

入場規制もそりゃそうだな…と頷く歌声だった。
物販にも寄ったがこの辺りは伝えきれなかった。ニュアンスの話は難しい。

sachi.

そして続いてやって来るのは…今回のリラフェスに行こうと決めた最大の理由の方。
凪さんの物販に寄っていたので、後ろからの観覧になった。
今回で活動休止、ということで、もうDY CUBEから溢れ出んばかり(※実際溢れ出ていた)の歌声と、黒山の人だかり。
普段ならここで入場規制しそうなものだが、今回は活動休止公演…このフェスに来た人の7割が居るんじゃないんだろうか、というぐらいまで人を入れていた。なので、もちろんsachi.さんの姿は全く見えない。

しかし…姿が見えなかったからこそ、ダイレクトに届く歌声。
吠えるような歌と、あまりにも温かいその雰囲気。
会場が黄色くなり、黄色い歓声…は流石に上げられなかった。禍でなけりゃ…
それでもガツガツと噛み付き続けるような、優しくて強い歌声。
「音楽嫌だ!って思ったけど、やっぱり楽しい」
「休止はするけど、やっぱり…」
…この人はたぶん歌うことから逃れられない。そんな印象を強く受けた。

『僕の夢』からのアンコールの全身全霊の『ダイヤ』。ひたすらに格好良くて、自然と涙が溢れた。

『光り方を覚えた僕たちに気付いた大人達がしめしめと僕を片手に取った』
『顕微鏡を構え、こいつはきっと光れないと、右から左 僕をぽいっと捨てた』
『こんなことあってたまるか』

音楽が嫌だと思ってしまったという、その言葉が、その歌詞が、深々と胸に刺さる。この時間が、この場が、終わってしまう。

…いいや、sachi.さんは戻ってきてくれる。
いつか、絶対に。

『ダイヤモンド』
『削り削られ形になれ』

そうは思っても、涙は止まらない。その大きな声が、マイク越しでない声が、胸に届く。
顔をぐしゃぐしゃにさせながら、DY CUBEを後にした。物販には寄らなかった。
絶対にこれで終わりじゃない。また会える時がある。そう信じて。
泣きながら駅までの道を歩く。端から見たらあやしい人に見えたかもしれない。本当は今日ラストのMOSAiCにも寄る予定だったが、辞めた。こんなぐしゃぐしゃな顔では、ぐしゃぐしゃの頭では、見ても頭に入ってこない。

そんな道中で聞こえた言葉。

「フジタカコさんとminoriさんとsachi.さんのスリーマン、なんで行かなかったの!」

…おう、私は行ったぜ!
少し頭ははっきりしたが、それでも決めたことは変えず。坂を降りながら涙を拭い、駅まで駆け出した。


今日のタイムテーブル:

四つのライブハウスを回れたので目標は一つ達成できた

おまけ 通りかかったので撮ったリラフェスとは関係のない看板


下北を歩けばライブに当たる…