圧倒的に走ってく

基本的には行ってきたライブのこと。たまにCDと本と諸々の話。

炎上交際2

炎上交際2東京編に行ってきました。
主催者は日食なつこ、場所は東京キネマ倶楽部
炎上交際、ということで、もちろん対バンライブです。
その交際相手は『空きっ腹に酒』

……既にただならぬ雰囲気を醸していますが、生きて帰ってこれるんでしょうか。


キネマ倶楽部ということで懸念したのは、以前にもあったエレベーター問題。
グッダグダになるのでは、と身構えて行ったところ、なんの滞りもなく皆さん整列していました。

そういえば整列中に貰いましたよ。「なつこ友の会」のお誘い。
……『お前らの集い』とかそんな名前だと思っていました。どうやら大人しい方の多いファン層のようです。

二度目となるキネマ倶楽部ですが、以前とはどうも違う雰囲気です。
待ち時間に流れている曲も洋楽、あるいはサウンドトラック。

今回は一体どういうことになるのやら……とりあえず以前見つけた穴場の中央寄り右へ。
おや、そのTシャツは……どうやらここは『空きっ腹に酒』ファンの集いのようです。
しかし一度陣取った以上、移動は難しいのが現実。
若干の場違い感は無視して開演を待ちます。
そして、開演時間直前。
撮影禁止を促す場内アナウンス。
この場所の雰囲気によく合った、聞き取りやすい女性の低音ボイス――

『――万が一不法行為を発見した場合には、厳重注意、没収剥奪、強制退去、この世に生まれてきた事への長時間詰問の末の社会的制裁を――』

……ん、なんだか様子がおかしいです。

『なお、本日アンコールはありません。その分本編に全力を注ぎますので、終了後は可及的すみやかにお帰りください。――日食なつこでした』

あ、やっぱり。
アナウンス終了後、拍手喝采でした。
始まる前からこの世界観。燃え尽きる準備は出来ています。

暗転と共に登場する『空きっ腹に酒』
周囲は狂喜的にヒートアップ。
……登場した時点でこの様子。熱いです。

そして曲がスタート。
盛り上がりすぎて歌詞が聞こえない事態。
完全に縦ノリです。
しかし郷に入れば郷に従え。
やりましたよ。踊ってきましたよ。……首痛めない程度に。

そして合間のMCも面白い。
要約すると、

・よくエゴサする
・今回の対バンのこともエゴサした
・日食なつこファンは真面目で大人しめの人が多い(というのはエゴサせんでも分かる)
・空きっ腹に酒は他の交際相手と路線が違う

結果:「良い対バンだけど空きっ腹だけ浮いてる」の声多数

「――アウェイ感は無視してやるぜーーーーー!!!!」

しかし少なくともアウェイではありませんでした。中央寄り右は。

コールアンドレスポンス。

「空きっ腹にーーー!」
「酒ーーー!!」
「日食なつこーーー!」
「――ぶっ殺す!!!!」

……パンクです。

空きっ腹が手を上げる度に、聴衆も拳を握り。
好き勝手に踊れ、という指令にも素直に従います。
周囲に迷惑掛けない程度に。
……根っこが真面目なのはどちらのファンにも共通項のよう。

そして相変わらず盛り上がりすぎで歌詞は聞こえません。なんか資本主義がどうのこうの言っていた気がしますが。
しかしそんなことは些細なこと。
グルーヴ感に身を任せ、一緒に声を張り上げている内に空きっ腹最後の曲。
なんとフリースタイルラップ。
つまりはこの場で考えたアドリブです。

歌詞は……えーと。
たぶんかなり過激なことおっしゃっていました。ここに書くとコンプライアンスに引っかかるぐらいの。
書けることといえば『水流のロック』という単語が出てきたことぐらいでしょうか。
交際相手の代表曲を違和感なく織り込む技量。
会場のボルテージはマックスに。

拳を上げて叫び、踊り狂い。
心と会場を揺さぶり、そろそろ周囲の首の骨が心配になってきたところで、空きっ腹は去って行きました。

そして後方から運び込まれるのはグランドピアノとドラム。
……ドラム?

グランドピアノは中央左寄り、ドラムは中央右寄りに設置され、両手を振って登場するそれぞれの演奏者。

グランドピアノはもちろん日食なつこ、そして、ドラムは。
元tricotの挑発的な長髪ドラマー、komaki。
日食さんは男顔で低めの声、komaki氏は女顔で高めの声のため、「どっち? どっち?」となっている方多数。
……そうでした。ここ、空きっ腹に酒のファンの集い……
(※そう言いますがこちらもkomaki氏を見るのは今回が初めてです)

シンバルの音と共に、日食パートスタート。

初めて聞く『非売品少女』の格好良さ。
一瞬で心を持ってかれました。
そして周囲はまだキョロキョロ。
ピアノ弾いてる方が歌ってるの? ドラム叩いてる方が歌ってるの?

うるっせえええ!グルーヴに身を任せろおおぉぉい!!

……失礼、空きっ腹がうつりました。

ですがキョロキョロしたくなる気持ちも分かります。
お二人の指捌き、流れるような『空中裁判』
目が四つ、あるいは体が二つあれば、と何度か思いました。
全員が固唾を呑んで見守るような感覚。
しかし日食さんはなにやらご不満なご様子。
本日のMCを台本に書いてきたという日食さん。
しかし、それを全て棄てると。

理由:『空きっ腹の盛り上がりに嫉妬したから』

「日食のライブはみーんな大人しい」
「でも今上から見ていたら、みーんな踊れるじゃない」
「私には見せない顔を見せるんじゃないよ」

ここからは私もフリースタイル、だから。

「ユキテロ(※空きっ腹のボーカル)ぶっ殺す!!」

「――ついて来いお前ら!!」

お前らいただきました。

ぶっ殺すが飛び交う物騒な東京キネマ倶楽部
しかしこの場ではぶっ殺すは最大の讃辞。
ついて行くお許しが出たので、堂々と迎え撃つことに。
ぐるぐる回る『黒い天球儀』、まぶしく目映く移り変わる『LAO』『ハイウェイは気にも留め』ずに『大停電』
橙色の郷愁を感じる『ハッカシロップ』、そして今回の目玉である新曲、『致死量の自由』
『果てなき自由は致死量の猛毒だった』
『正しい使い方を知らない奴は飲んじゃダメなんだ』
komaki氏が促すクラップに誰も付いていけず、いつの間にか普通の手拍子になり。
皆さん拳を突き上げていたはずが、また固唾を呑んで聴くモード。
『――本当か? ごめん 全部 嘘だ』
のところで会場をチラリと見る日食なつこ。
遠目からだったのに身が縮んだ。
そして曲が終わると「買ってね!」とほがらかに言う日食さん。
あ、さっきの販促の目線だったんですか!?
それは反則ですよまったくもう。
そして会場が真っ青になり、『水流のロック』
ドラムの一音目からゾクッとしました。
挑発的な長髪二人の超絶セッション。
絵にしたら漫画みたいになりそうです。
見せ場のところでコケたkomakiさんについては一旦スルーしましょう
再び拳を突き上げ、ヒートアップする会場、
「さあ、最後の曲だ」
「この曲だけは空きっ腹を借りてもいいですか?」(ニヤ、と不敵な笑み)
言い忘れていましたが空きっ腹に酒にはコールアンドレスポンスのお約束があるそうで。
ユキテロが拳を突き上げ口をぱくぱくするような動きをすると、その後のフレーズを歌え、という合図。
このお約束を借りた上で、繰り出される最後の曲。
「さあ躍れよお前たち!!」
『――ログマロープ!!』
……いやもう何処の必殺技でしょうか。
格好良すぎる啖呵と共に、追い立てられるようなそのメロディー。
サビの前で突き上げられた拳、
一同『鋼の心臓』大合唱。
『矢印ばっかの世界を生意気に歩こうぜ』
『計画倒れの世界に呆れたなら導けばいい』
突き刺さるその歌詞に、会場は狂喜的な盛り上がり。
それでも最後の一音はやはり固唾を呑んで。
心も会場も揺さぶられ、自然発生的に沸き起こるアンコールの拍手の渦。
しかしあのアナウンスの手前、これ以上はもうないでしょう。
足早に会場を離れ、物販の列へ。
手にしたのは『致死量の自由』日食降魔書『経文手ぬぐい』。おまけでマッチも貰ってきました。
「考えるな、燃やせ」の文字が燦然と輝いています。

熱気冷めやらぬまま日食さんの呟きを見に行きますと、今度はぞくりとするお知らせが。
燃え尽きたあとは、凍り付くのみ。
どうしようか迷う前にもうチケット取りました。
善は急げ。早くも来年の楽しみが一つ。

それでもふつふつと沸き上がる熱気を鎮めるために、普段あまり行かないカラオケへ。
入れるのはもちろん日食なつこ。
気分はオンステージ、『黒い天球儀』の超格好良いイントロと共に、

健気にお菓子作りに奮闘する可愛い女の子の姿が……

……いやいやいやいや。
『限界値を裏切れ』『捻じ切れるまで加速していけ』のところで常人にはあり得ない速度でボウルをかき混ぜる姿にはつい笑ってしまいましたけど!
だからと言って恋愛じゃない曲は全部振り子出てくるのもアレですけどね!
本人映像充実させてください、切実に。
そして『致死量の自由』歌わせてください。空きっ腹に酒でもぶち込みながら。