圧倒的に走ってく

基本的には行ってきたライブのこと。たまにCDと本と諸々の話。

いつかもう一度

sachi.四谷天窓ラストワンマン『#ENCORE』@四谷天窓。
感情を曝け出して人生を歌う"人間"を見てきた日でした。

2020年11月12日。
四谷天窓が閉まることが決まって、これがラストになるか…と複雑な気持ちで現地へ。

整理番号順、ということで階段の下まで列が出来ていた。
…天窓3階なのに。
しかしそれも当然か…と思いながら階段を上がっていく。

sachi.さんのライブに行くのはこれが初めて。
先日の配信を見て、これは行かなきゃならない…と思っての今日。

旅館の受付のような受付で、検温、消毒。

もし禍にならなかったらこの場所ももっと続いたんだろうか…複雑な気持ちは深まるばかりだが、空いている席に座り、開演を待つ。
客層は…男性が9割と言ったところか。分析するまでもない気もするが。
フロア、天井、和室。ぐるぐる見回していると変な人だと思われそうだが、今日は同じように色々な場所を見ている方が多かった。
……もう見納めになるんだからそれもそうか、と思っていると、開演時間。

天窓名物・サインが書かれた石壁の前に現れるsachi.さん。
悲しさなんて微塵も感じさせない満面の笑みを湛えたその姿から発せられる高音は、吼えているというのがぴったりな音をしていた。
びりびりと鼓膜を震わせる声量に驚いていると、もう次の曲に移っている…
最初の3曲はそんな感じで過ぎていってしまった。

「天窓が大好き」だと語る姿、からのその歌は、自分を削っているように見えて、少し痛々しかった。
魂剥き出しで飛びかかってくるひと、という印象で、気を抜いたら噛み付かれそうな。
それでも底抜けに明るくて、どんどん惹き付けられる。
弦を何度も切りながらの歌。
転換の素早さからスタッフさんとの連帯も見えてきて、ガッと釘付けになる。
本当にこの場所が大好きなんだな…というのがひしひしと伝わってきて、胸が痛くなってきた、次の曲。

「この曲だけ撮影して良い…ってことにしてもいいですか?」

大きな丸が出て、撮影許可。
これは信頼がないとできないことだ…と思いつつ、スマホを出すのに手間取って、撮れなかった。

…その分、心に刻むことにした。

「終わっちゃう…終わっちゃうよ…」

「終わりたくないよ!」

そうは言っても、終わりはやってくる。
だからこそ、アンコールは全力で。

アンコールありがとう、もそこそこに、歌い出すsachi.さん。
その曲は、『ダイヤ』。

この曲は、sachi.さんの代表曲。
他の人では中々歌えない高音の、その曲。
これで天窓も、天窓でのsachi.さんも見納めか。

『ダイヤモンド 削り削られ形になれ』

じわり、と噛み締め、最大の拍手で送った。

…その後発表があって、もう一度天窓に行くことになったのは、また別の話。