圧倒的に走ってく

基本的には行ってきたライブのこと。たまにCDと本と諸々の話。

くらげの月

11/26、月見ル君想フで行われたダブルピアノ合戦について。

ヒグチアイ、まきちゃんぐの対バン。
一言で言うなら、ピアノバトル。

構成が難しいので、箇条書きでそれについて補足していく形で記録。

規格外のダブルピアノ

月見ル君想フは、通常200席前後のライブハウス。
舞台側にはとても巨大な偽りの月が映し出されていて、それだけでゾッとするような美しさ。
そこの中央にグランドピアノを二つ持ち込むという無茶苦茶に贅沢な企画。
舞台側まで客席にして、ぐるりとピアノを取り囲む形。
ヒグチさん曰く、奥のピアノが瑞々しく若い音が出るから「若ちゃん」、
手前のピアノは老齢した奥行きのある重厚感を持つ音を出すから「老ちゃん」。
お二人とも「老ちゃん」の音が気に入ったそう。
確かに若干音が違うような気もするんですが、二台とも外部のピアノだそうで、今となっては聴き比べる手段がないのが少しもどかしい。
これは実際に行った人にだけ分かる特典というところか……?

手元がはっきり見えすぎる

お客さんは全体で100居るか居ないかぐらいで、どこから見ても特等席の眺望。
具体的に言えばどこから見ても最前列。
しかも途中で座り位置が入れ替わる。
つまり、至近距離でお二人の手元見放題。
ガン見コースでいくか、遠距離コースでいくか。そんな声も聞こえた。
いや、こんな機会滅多にないんだからガン見コースで行くでしょうよと心を決めて。

その結果、見事撃沈。

ピアノ、88鍵。
扱う人によって音質が変わる、というのはよく聞く話。
そりゃそうでしょうよ。扱い方がまるで違うんだもの。

このピアノ全部私の物だ!とばかりに鍵を叩く一方と、
繊細な中にも芯の強さを感じる鍵の叩き方のもう一方。

手の大きさや曲調なども関係していそうですが、大方こんな感じを受けました(※個人の感想です)。
どちらがどちらかは直接見に行った方だけの共有事項ということで。

印象に残った曲

全部。
……では話にならないので、数曲ピックアップします。

コラボで聴かせる『前線』。
お二人の声の重なり方。流れるような音とアイコンタクト。
このコラボいきなりどうなるんだよ…感満載。

同じくコラボでの『ほしのなまえ』。
以前、Twitterの企画でおすすめして戴いた曲。
偽りの月を背景にして、ひとつずつ紡がれていく歌声。
あまりにも美しい光景に頭がぼんやりして「あれ?ここに体ある?」という感覚になった。危ない。

その流れからの『名前』。
MCの雰囲気も相まって、雨は降っていないのに雨の音がしたように思えた。

某曲のクリスマスアレンジ。
何が起こっているのか分からず、手元を見てもよく分からない。
歌が始まるまで何の曲か分からないほど。
この曲がどうしたらこうなるのか…ガツガツと音に打たれて、息をするのを忘れた。

歌詞が特に印象に残ったのは『鋼の心』。
強固な意思を持ちながらも、貴方に溶かされていく『鋼の心』。
思い浮かぶのは打たれるたび熱くなる鋼の心臓。
同じようなテーマでも、作る人、歌う人によって全然違うものになるんだなと面白く聴いていた。

その他、特記事項

・男性ファンから「幸せになっていただきたいです!」とガチ目に言われたというアイさん。幸せとは。
・さっきも書きましたがピアノ越しのアイコンタクト。これは長年の積み重ねを感じる。
・喋る声と歌う声にギャップがあるお二人。初見らしい人が驚いていた。ただしこちらも片方は初見。例に漏れず驚いた。
・MCが面白いお二人。良い掛け合いで和やか。なのに音はバチバチ。ギャップ。

これ以降はあなたの記憶だけに、という本人の意向を汲んで、ここにはもう書きません。

放心状態になりながら帰ったことは付記しておきます。
またいつか、と言われて、いつかって良い言葉だな、などと思いながら歩いていると、前を歩く方々が、

「ダブルピアノ圧巻だった……」
「日食さんもこの形式で見てみたい!」

おう、あなた方とは近い内に会うことになりそうだな!
と思ってしまったのは、ここだけの話。

余談

『鋼の心』が印象に残ったので、タイトルからアルバムを割り出して買おうとしたところ
アルバムタイトルが禁止表現に引っかかっているらしく、アダルト商品扱いされていたのは笑うしかなかった。

……タイトルだけで判断するなよA○azon!!