圧倒的に走ってく

基本的には行ってきたライブのこと。たまにCDと本と諸々の話。

そのまなざしは

まなざし〜差・指・刺〜@渋谷CLUB QUATTRO
めちゃくちゃガン見してしまう場面と、目が足りない!と思った場面があったライブでした。

2021年6月20日
吉澤嘉代子関連の方々をフォローしていることもあって、TLには「吉澤嘉代子の野外音楽堂」のことが散見された。
絶対に良いことが約束されているライブ。
…を尻目に、渋谷に向かった。

本当は分裂してでも両方行きたいところだったが、プラナリアでもあるまいし、致し方ない。

やってきたぜ渋谷QUATTRO…!
しかし何度来てもここは慣れない。
まずGUと同じビルという立地条件もあって、中々独特なゲートを通らなければならない。
また対策の一環なのか、エスカレーターを停止しエレベーターのみの稼働、というのもそれに拍車をかける。

エスカレーターとエレベーターに分けた方が密対策&分散入場が出来そうな気もするのだが、まあ他にも理由があるのだろうと自分を納得させつつ。

消毒と連絡先登録、接触確認アプリの確認。
QUATTROは他より若干厳しい制限を敷いているらしい。

ペットボトルのみのドリンク交換。名物の柱を横目に、指定席に向かう。
中央寄りやや後方…全体がよく見える席。今までUNIDOTSのライブはどちらか寄りが多かったので新鮮だ。

Soldと言っていたが良い席が結構空いているのを見て、来るのを断念した人が多いことを知った。
開催されてこの場に来れるだけでも凄いことなんだな、と改めて思ったところで、開演時間。

いきなりの大きなブレスからの、『潜熱』。
おいおい…と思う間もなく叩き付けられる音、音、音。

『永遠なんて存在しないってことを』
『教える時、永遠という言葉が生まれた』

この情勢に、歌詞が重く響く。
今までのような日常が永遠では無かったこと。
しかし、この禍も永遠ではないということ。
絶望の言葉でもあり、希望の言葉にもなる。

ほぼ正面の席だということもあってか、ドラムの音がダイレクトに届く。
いやドラムのUさんめさ格好良いな!?
着席+ソーシャルディスタンス故に、今まではじっくり見れなかった部分もよく見える。
その点は禍の数少ない利点かもしれない。

瑞葵さんの歌声、コンノさんとのアイコンタクト、たまに客席に刺さる鋭い眼光。
これは完全に眼刺し…

真正面のUさんが妖しく笑っている…まなざされている…
ベースの哲さんは…この角度からじゃ見えない…
何度も何度も眼差し、眼刺される。
客席、ノックアウト寸前。
これがまなざし…

心ここにあらず、とばかりに釘付けになっていると、MC。
ライブが出来ることが普通ではなくなって、自分を見つめ直すことが増えた。
見た目を磨くと、皆が褒めてくれる。歌を歌うと、あまり人を褒めない父親が褒めてくれる。
そんな理由で歌を志すことにした14歳の頃を思い出す。

しかし実は、今も14歳の自分が心の中に居て、たまに顔を出す。
見た目を磨けば褒められるが、中身を見られていないのではないか。
歌だって、人に褒められたくて歌っているのか? 自分の意思では無いのか?

そんな、14歳の自分を曝け出すことにしたという次の曲は、とてつもなく凶暴だった。
吐き出すような歌い方、体を折り曲げて歌う姿。
見た目だけじゃない。女だから、とか言うな。
幼いと言われるかもしれない言葉の数々。
しかしそれを享受するのが良いことなのか?

この人でもそんな意見に晒されているのか…と頭が痛くなる。
美しいということは、必ずしも称賛とは限らない。
世の中の不条理のようなものを感じる。

全てを吐き出し終え、次の曲。
とても清々しく見えた。
見えたけど、煮えたぎる想いは抱えたままなのだろう。眼光は鋭いまま。
瑞葵さんを見つめるコンノさんとUさんのまなざしが優しい。
ベースの哲さんは…この角度からじゃまなざせない。

視線に溺れたり、歌声に溺れたり、音に溺れて跳ねたり、その内面の深さに溺れたりしていると、もう最後の曲。

更に内面を深掘り、大きく息を吐く。
青い照明も相俟って、水面に出てきたように見えた。
このまま消えていってしまいそうな雰囲気がある…しっかりと目に焼き付ける…

しかし、まだ終わらない。

途轍もなく長く感じたアンコールの拍手の後、やってくるUNIDOTS。
全員がまなざしTを着ている。
グッズの紹介とのことだが、全員似合いすぎだった。これはどんな宣伝よりも強い…
終演後Tシャツだけピンポイントで売り切れたというのも頷ける。あんなに素敵に着こなしているのなら。

配信のコメントを読み上げ、更にグッズ紹介…というところで
瑞葵のピアスが取れた。

大きいピアスだから耳たぶが千切れるんじゃないかと思ったが、取れただけで済んだ(※本人談)らしい。
その後のグッズ紹介は案の定グダグダだったが、あの曲を聞いてしまえば、和やかに紹介している姿だけでももう十二分な宣伝である。

追加で物販を買い足すことを決めたところで、今度こそ最後の曲、『東京の精神』。
壮大な音が渋谷QUATTROに似合う音になる。
最後にunidotsの二人のアイコンタクト。
もうこれだけでも来た理由は達成された気がした。

勇姿を目に焼き付け、QUATTROの階段を降りていく。どちらに行こうかは若干の迷いはあったものの、こちらを選んだことを後悔はしない。迷える状況になったこと自体が、状態が良くなってきている証拠なんだな、と思いながら。

…そういえばまだフォローしてなかったな、とUさんはすぐに見つけて勢いでフォローしたものの、ベースの哲さんのアカウントが全く見つからなかった(※沢山出てきてどの人か分からなかった)のはまた別の話。