圧倒的に走ってく

基本的には行ってきたライブのこと。たまにCDと本と諸々の話。

センサバンベツな日

センサバンベツ@Shibuya eggman。

2022年のライブ初めは予定外のまさかの大雪…
同行予定だった知人から「こんな状況でライブ行くの…?」とか言われましたが、ええ、私は行きますよ…!

とはいえ、めちゃくちゃな雪である。


東京ではこの時期にこれだけ積もったのは十数年ぶりだとか…


!?

雪の真っ只中でカメラ構える気にならなかったので雑コラですが、着いたらこうなっていた。
ここは何度も通ってるけど初めて見た真っ黒の看板…!

しかしここでもう一つの予定外。
eggmanは階段を下った先のライブハウスで、この階段というのがツルンとした材質の石で出来ており、屋根がない。
よってライブハウス特有の雰囲気や閉塞感が少なく、普段ならとても入りやすい場所…なのだが。
ここが雪晒しになり、それに踏みならしてもいない状況…

結果:爆誕する超危険階段

元からツルッツルなのが余計にツルッツルになり、手摺りもない。実際一段目で少し滑り、そこからは傘を閉じて杖のようにしながら、時に壁を伝いながら、一歩一歩慎重に進んで行った。
気温以上に肝を冷やしながら、何とか地下二階に到着。

もしかして客私一人では…? と思ったがそんなことはなく、最前は大体埋まっていた。
元々最前に行くつもりは無かったのでむしろ好都合。3列目に席を決めた所で、開演時間。

アマアラシ

最初に現れたのは…顔をめちゃくちゃ隠した人。
どうやら顔出しNGらしい…が、歌っている間は隠していなかった。しかし照明でガンガンに見えなくなる。

音圧が凄くて引き込まれる。
生き死にを描いた歌詞に釘付けになり、真っ赤になったり真っ青になったりする会場が殊更に相乗効果になっていた。
これはハマる人が多いのも分かる…

「…写真とか上げないでね」

…謙虚な方だ…上げませんよもちろん!

井上緑
アマアラシさんが消えるように去っていき、続いてやってきたのはまた男性。

『砂漠のサボテンの育て方』から始まる、雪を溶かさんばかりの熱さ。
名前を表すようにギターも緑色で、ついつい目が行ってしまった。
音で殴りつけてくるようで、凄く格好良かった。

『クリスマスのカップルは!』『――!!』

oh…過激。

waka

最後の曲のインパクトにやられていると、今度はギターが大きく見える女性がやって来た。

その音のイメージは、紅色。
声がよく伸びていて、凄く耳に残る。
背筋もめちゃくちゃ伸びていた。
隣の人がノリノリだったので、それにつられて心が揺れた。

なるほど…心を掴む、ってこういうことか。

藍谷凪

続いてやって来たのは…キーボードと、嫋やかな雰囲気を持った姿。
穏やかな雰囲気の声の、藍谷凪さん。

『交差点』Instrumentalからの『水槽』。
生き死にを感じさせて、少しゾクリとする。
『君がくれた花束』の色は、今日は赤紫の印象だった。血の色に憂鬱な色が少し見えるような。
『CrepeMellow』の不思議な音に身を任せていると、更に音が柔らかくなる。
『風よ波よ』の『気をつけて帰ってね』が骨身に染みる、今日の路面…

さのめいみ。

続いてやって来たのは…黒い服のその姿。

「――雪だぜ!!」

そう言ってはしゃぐ姿…雪より眩しいぜ…。
雪でテンションMAXなようで、最初からフルスロットルだった。
『water』から『Squall』の流れは今日の天候にバッチリで、聞いていて外の雪の音が聞こえてくるような気がした。

『太陽の歌』、照明の関係で神仏か何かの様な神々しさを纏っていて、ひえ…となった。
命を考えさせるその歌とその姿は最早…

市川周

続いてやって来たのは…眼鏡の男性。

低い声も高い声もよく響く歌声で、いきなり引き込まれる。
カバー曲がメインなのか…?
と思いきや、オリジナル曲の破壊力たるや。
死を選ぶ人の気持ちはその人にしか分からないが、後悔したところで、死んでからじゃ遅い。
そんな『私のいない朝』が心に痛すぎて、少し胃の辺りを押さえてしまった。

新年からこの重い曲をぶつけてくる、いや、新年だからこそか。
様々な人が死を選んでしまう、その前に。

番匠谷紗衣

少し重い気分でいると、続いては。
重いままで終わるのかと思いきや、今度は底抜けの明るさ。

声が格好良くて、色にするなら紅蓮の色。
遠くまで響き渡る熱い声の…番匠谷紗衣さん。
終始面白い方という印象で、この方も雪ではしゃいでいた。
番匠谷さんの地元…大阪の方はあまり雪が降らないらしく、見ただけでテンションが上がるそう。

(最後までは)「残ってくれてないかと思ってた。雪だし」
「でも、こういう日って、絶対(記憶に)残るよね? 忘れないよね?」

確かに今日のこの光景は雪と共に忘れられないと思う。
夕方から夜中に近い時間まで、屋内なのにコートを着ながらライブを観た思い出。
今しか集められない、「これから」の人たちを集めたライブという印象で、見ていてゾクゾクするところも多かった。
音響がすごく良くて、全員が全員、歌い出すと雰囲気が一変するのは見ていて楽しかった。

そして何より、階段で身が縮んだこと…

…お疲れ様でした、と思いながらまたゆっくりと階段を上がっていくと、もう雪は止んでいた。

帰りは人の多い方を通って帰ろう、そんなことを思いながら、いつの間にか外に出されていた看板を写真に収めた。