圧倒的に走ってく

基本的には行ってきたライブのこと。たまにCDと本と諸々の話。

フジタカコ『HEROINE』から作った短歌と勝手な解釈を書いていく

ワンマンの日からこっそり書いていた短歌。
ワンマン記念に…と1曲だけのつもりが、タイトル含めて10+1曲分書けたのでこっそりまとめてみます。
完全な二次創作、自己解釈です

怪物

あんたにわかってたまるかよ
滲む血の色すら知らないで

燻った心に滲む紅色よ
不甲斐ない己切り裂く爪牙

天才も正しい彼女も知らないわ
真夜中に泣く本当の姿

生憎ねどうせ彼女も出来損ない
などとのたまうあたしも怪物


二面性…のある人。それでいて舞台の上に立つ人(女優、歌手など)のイメージがある
もう成人はしていると思う
心に抱えている怪物の正体は…

天使になったら

拝啓、天使になってゆくあなたへ
あなたの羽根は綺麗でしょうか?

拝啓、三階の踊り場の私へ
強さに比例するから綺麗さ

拝啓、三階の踊り場のあなたへ
君の永遠を奪ってごめんね

拝啓、天使になった私へ
いいの私のいく先が永遠

くだらない世界へ送るラブレター
グッバイ敬具 私へ敬具


遺書、のイメージ
理想の自分と対話している(し、最後の方では姿まで見えている)高校生、あるいは中学生
他のヒロイン達と同じ学校だけど交流はない感じがする
精神年齢はともかくHEROINEのヒロイン達の中で一番年下のイメージ
(もしかすると他のヒロイン達の世界ではもう天使になっていて、年齢が止まっているのかも、と思うと中々来るものがある)

かなしくないよ

悲しいと笑うあの子が可愛くて
言い張るあたしかわいくないな

傘の中ふたり並んで笑ってる
隣にいるのあたしじゃなくて

腫れた目に瞼に光るアイシャドウ
かなしくないよ、くやしくないよ


ジャケットが傘を差した人なので、雨の帰り道の様子に
年齢は特定できない…けど今回の短歌の中だと高校生から大学生のイメージ
かなり我が強いが、折れる時は折れる
『君と君の隣の女』案件

私が髪を切るときは

鏡越し変わるあたしに呟いた
似合うねだとかふられただとか

言わせとけ中指立てて鏡越し
誰の為でもないからクソが

撫でる切る飾る粧う抱きしめる
私は私のものなんだから


想定しているのは美容院
画像の色味は美容院に置いてありそうな一昔前の雑誌のイメージ

もちろん内心で、の話
『怪物』に出てくる『いつも正しい彼女』の内面のイメージ
正しい、と他人から思われているけど、それすらも自分で創り出したイメージという
凄く気が強くて我も強いし、折れない
『かなしくないよ』の主人公と同じ人と解釈しても楽しいけど今回は別人設定
年齢はたぶん大人…だけどかなしくないよの主人公とは同じぐらいの年齢のイメージがある
なんなら同じクラスにいるイメージ
曲中に出てくる『君』が『かなしくないよ』の『君』と同じ人だとしたら、だいぶ罪な人だ…

koi

窓の外笑うあの子を眺めてる
誰彼彼女惹かれる姿

興味ない寝たふりしても聞こえてる
誰彼彼女引かれる噂

叶うはずないのにどこか上の空
誰彼彼女追われる立場

眩しくて見てられなくて手を翳す
誰の手もなく光れる君へ


末っ子の歌、と言われている為、年齢は低いが、少し大人びたイメージに。
『天使になったら』よりは年上だと思う
噂になっている『君』の事には興味ないと言いつつも、実は、と読み取って、このような感じに。
叶うはずないのは、立場が違うからなのか、それとも…

この曲に出てくる『君』が『かなしくないよ』と『私が髪を切るときは』の『君』と同じ人と捉えると罪すぎるし、あるいは『君』の隣の人の方だとしても…

夢見るだけなら

まどろみにいざなわれては溢れだす
夢見るだけなら夢見るだけなら

あのセリフ本がドラマがBメロが
浮かんでは言う「それでいいの?」

うるさいな叫んだ声は震えてた
だけでもいいなら誰でもいいの

後ろ髪袖をひかれる夢を見る
だけのあたしが飛び出した部屋


やはり思い浮かぶのは教室のイメージ
夢見るだけをやめて、夢を掴むために、自分で自分の背中を押して、部屋を飛び出す
『koi』のヒロインとは同じクラスだと思うとなんとなくストーリーが面白くなる
部屋を飛び出した後は…

グッドラックが聞こえない

飛び立てる勇気も準備できないで
耳を塞いで右左右

歓声も離陸指示さえ聞こえない
飛ぶか否かすらあたし次第

後ろ指舞台に全部置いてきた
翼はあたしの胸の中に

背中押す追い風なんていらないの
この鼓動だけが管制塔


個人的に、『夢見るだけなら』と同じ主人公なら面白いな、と思っていて、夢を叶える為に飛び出し、夢を掴んだ姿を思い浮かべた。
俳優か歌手かは分からないけど、やはり舞台の上に立つ人
前に進む力に満ち溢れていて、自分で自分を鼓舞しているイメージ
だが…

スポットからにげて

ありがとうごめんねもなく残された
スポットライト佇むマイク

鋭い目潤ませながらぶち壊す
台風のように消えた彼女

くたびれたスカート折れたヒールはいらない
駆け出す彼女歌うは絶望

君の前だけでは歌っていたいの
息を切らして叫んだ君へ


『夢見るだけ』をやめて、『グッドラックが聞こえない』で夢を叶えた『彼女』は、出番の途中にステージから消えた――

…この曲に関しては解釈するまでもなく、そのまんまだ。
スポットから逃げて、たったひとりの為に歌うことを選んだヒロイン。
その最後の言葉は、「シンデレラにはくたびれたスカートと折れたヒールはいらないの」
傍から見れば悲劇、本人にとっては――

『彼女』がもし、素直に泣ける人だったのなら。この結末は選ばなかったのだろうか…

シスター

ありがとうごめんねばかりを呟いて
身体丸めて俯く私

不甲斐ない咽ぶ目だけは鋭くて
歯を食いしばり泣いてる私

涙色のスカートガラスのヒールで
よそおう私に十字を切って

十二時で終わる魔法に掛けられて(はつかえない)
それでもスポットの真ん中で


『夢見るだけ』をやめて、『グッドラックが聞こえない』で夢を叶えた『彼女』は、舞台の上で輝く人となった。
しかし彼女は、自らの力だけで光っている訳ではなかった――

個人的に、アルバムになって一番印象が変わった曲。シングルだとジャケットの真ん中で泣く女の子に向けての応援歌として存在していた『シスター』が、アルバムで『スポットからにげて』が入った事で、スポットから逃げずに、その真ん中に立ち続けた人の歌に思えた。
そう解釈して、短歌も対になるような雰囲気に。
自分だけでは魔法は使えない。彼女に魔法を掛けるのは――

ho-pe

不甲斐ない装えないし光れない
どん底の夜掘り当てた石

目立たない音も出ないし光らない
磨くまでわからない原石

砕かれたわたしの心散りばめて
形創るは9人のあの子

真珠にもダイヤモンドにも敵わない
最後に光るその名は絶望


こちらは、ワンマンで聞いた、曲の解釈を受けて。
アルバムの全ての曲に繋がるように創られた曲ということで、全ての曲に繫がる原石、という解釈。
公式見解である、9人のヒロイン、という言葉ははどこかに入れたかった
そして、その原動力となる物は…

HEROINE

夢を見るあの子も聖なるシスターも
抱えてるドロドロの溶岩

愛されたい髪を切りたい光りたい
過去を越えたいいなくなりたい

胸元に覗く絶望飼い慣らし
違う9人の私を生きる

パールでも金剛石でも敵わない
折れない言葉紡ぐわたしは、



『ho-pe』が全ての曲に繫がる原石なら、アルバム自体は、全ての曲を送り出す人、シンガーソングライターだと捉えて。
9人のヒロインの印象を纏めると、本当はぐちゃぐちゃな感情を飼い慣らしながら生きる、『怪物』を持っている、『スポットからにげ』なかった方の彼女に。
『シスター』で『スポットの真ん中』に居続ける事を選んだ彼女は、自分の欠片を散りばめながら、誰かを主人公にした曲を創り続ける。

たぶん、それは、これからも。



そんな事を言ってたら本人から解釈のヒントになるようなインタビュー記事が。
natalie.mu
当たり前だけどめちゃくちゃしっくり来るので、こちらを踏まえた短歌も作ってみたい所。