圧倒的に走ってく

基本的には行ってきたライブのこと。たまにCDと本と諸々の話。

百万年きみを愛す

吉澤嘉代子の2年ぶりのシングル、『氷菓子』がリリースされた。
基本は配信リリースで、ビクターオンラインストアでのみCD版が発売されている。
私の元にも『氷菓子』が届いたので、じっくりと噛み締めて。
歌詞カードを読むと想像していた漢字と全然違うので、そこも面白く聴いている。

ライブ直後にはこんなことを言っていたが、聴き込む内に、この曲をもっと深く知るにはやはり主題歌の映画も見なければいけないのでは…?
という衝動に駆られたので、劇場に走った結果の感想も含めての、歌詞解釈。
基本的に『氷菓子』の事しか語ってませんが、映画『アイスクリームフィーバー』のネタバレを少しだけ含みます。

まず、『アイスクリームフィーバー』は2つのパートに分けられる。
便宜上、アイスクリーム屋で働く菜摘(吉岡里帆)と謎多き女性・佐保(モトーラ世理奈)の交流と…を描いた話をAパート、会社員の優と、その家に突然やって来た姪・美和が一緒に父探しをする事になった話をBパートとする。

ジャケットにも菜摘と佐保しか写っていないことからも分かるが、『氷菓子』にはAパートの要素が9割、Bパートの要素が1割ぐらい…というかBパートは殆ど反映されていないんじゃないかと思う。
しかし映画を見ていく内に、ちゃんとBパートの事も示していたんだな…という事が分かる構成になっている。

『あれから何時も舌を火傷してるみたい』

…冒頭からあまり深入りするととんでもないことになりそうな歌詞だが、歌詞考察なので少しは入り込む事にする。
この箇所の事はインタビューに載っていた。
打ち合わせの時はアイスクリームをずっと食べていたのだが、食べ続けていると舌が痺れるような感覚になった。
冷たいのに、火傷したような。
気になるのは『あれから』だが、それはやはり…

『口吻(くちづけ)だけで僕を幽じこめて』
『氷を頬張る熱が疾走る(はしる)』

ここはそのまま、メインビジュアル、ジャケットにもなっている箇所の話だ。
閉じこめて、ではなく『幽じこめて』。
幽閉してしまうレベル…愛が…重い…

霜焼けの指絡めて笑った』
霜焼けの指絡めて契った』
霜焼けの指絡めて解いた』

映画を見てからゾクッとしたのはこのフレーズ。
詳しくはネタバレになってしまうから言わないが、言わないが…!

アイスクリームの日で大きく身振り手振りをしていたのもこのフレーズで、遠目からだとただバタバタしているようにしか見えなかったのだが…各歌唱映像で確認して、『絡めて契った』の所で小指を立てているのが分かってしまい、一気にぶっ倒れそうになってしまった。
約束と、その破棄…それは、あまりにも、…

…さて、これ以上の歌詞の読み解きはAパートの深刻なネタバレになるので、やめておく。

一つ言えるとすれば、何故アイスクリームの日に曲を深堀りするストーリーパートが無かったのか。それは分かってしまった。

『アイスクリームフィーバー』こそが、『氷菓子』のストーリーパートだったからだ。
どの文脈からも感じる吉澤嘉代子
これを味わえただけでも、劇場に行った意味があった。

『どんなに優しい嘘』とは何なのか。
『僕は魔法使いじゃない』の真意とは。

『百万年きみを愛す』気概で、もう少し冷たい甘い余韻に浸ることにします…


吉澤嘉代子『氷菓子』