圧倒的に走ってく

基本的には行ってきたライブのこと。たまにCDと本と諸々の話。

明くる夜といつ蝉

明くる夜の羊というバンドと、いつかの空蝉というバンドがいる。

・バンドの形態が女性ボーカル+男性数名(※なお明くる夜のベースは…)
・イメージカラーが真逆
・よくコラボツーマンをしている
・コラボグッズ(羊と蝉でメィミンというキャラクター)を出している

という訳でよくセットで扱われる事が多い(※本人談)そうだが、今回ほぼ同日に4th配信シングルを出したことで、個人的には余計に対になっている感が強まってしまった。
というのもこのシングル、『主人公になれなかった』と『スーパーフライデー』は、同じ事柄を別の側面から見ている曲と考えた方がしっくり来るのである。

休日を挟んだ金曜日と月曜日の曲

『スーパーフライデー』はざっくり言うと休日前や休日明けのダルさを、スーパードライで吹っ飛ばせ!という曲なのだが、冒頭に出てくるのは枠にはまった月曜日である。
そして、『主人公になれなかった』は日時こそは書かれていないが、なんとなく陰鬱な月曜日を思わせるには充分な要素を持っている。
というか配信されたのが日曜深夜で聴いたのが月曜日の朝というのに相当引っ張られているような気がするが、とにかく月曜日の雰囲気をまとっていると思っている。
学校にしろ仕事にしろ、休日明けの、なんとも言えないあの雰囲気。

『あともうどれくらい枠にはめた生活を作るのだろう』
『誰もが持ってるありふれた青い青い春の脇役を生きる』

…憂鬱だ。

憂鬱が加速する明くる夜、憂鬱を昇華するいつ蝉

ここからサビへの畳み掛けは全く違う方向に向かう。
明くる夜は『あなたの夢はなんですか?』と歌うことへの内省を続け、いつ蝉は『私は出来る子なんだよ!』と自分を奮い立たせている。
イメージカラーは黒と白。
こんなところにも色が出る。

向かう先が逆になる

しかしそれでは終わらない。
『歌いたいことが分からなくなって』
『その気持ちをまた歌にした』
明くる夜は更に畳み掛け、ついに憂鬱を昇華させる。
『早く起きなよ 時間は過ぎてく』『まだちょっと眠いの』
いつ蝉は、昇華させたはずが、内省に戻る。空元気だったのである。

『言葉にしては歌にしてあなたに問いかけてる』
『君の語りは必要ないああもう全然響かないよ』

問いかける明くる夜と、語りは必要ない、と強がるいつ蝉。
あなたに向けた言葉と、自分に向けた言葉。
『言葉』で話が繋がって、また枝分かれしていく。
月曜日を生き抜くこと、人生を生き抜くこと。
それを、明くる夜は力強く、いつ蝉は底抜けに明るく歌っている。
これが、こじつけ気味だが対になっている、と思った一番の理由である。

まあ、全部こじつけなんですが。